2017年度の滋賀県の国語の公立高校過去問を解説

滋賀県の国語は記述の問題が非常に多く、読解問題は少し癖が強めですが、対策をすれば高得点を期待できます。

詳しくは滋賀県公立高校国語過去問の傾向をまとめた記事がありますのでそちらもご覧ください。

滋賀県の公立高校 一般入試 国語の出題傾向【滋賀の国語塾】

問題文は京都新聞様のサイトよりダウンロードできます。

https://www.kyoto-np.co.jp/list/corporate/high_school_exam

各問の正答率などのデータは滋賀県教育委員会様より閲覧できます。

https://www.pref.shiga.lg.jp/edu/nyuushi/high/senbatsu/105597.html

2017年度の国語は平均点が52.3点で、前年と比べてマイナス2.1点と、大きな変化はありませんでした。

今年度は大問1、大問2の中では1問を除いて全てが記述の問題なので、いかに記述力を鍛えておくかが重要になります。

大問1は西洋タンポポと日本在来のタンポポについての読解問題

問1  次の【表】は、西洋タンポポと日本タンポポの生息地について、【本の一部】、【資料A】【資料B】に書かれている内容を整理したものです。【表】のIとIIに当てはまる適切な言葉を、それぞれの文章中から抜き出して書きなさい。

【表】

            【本の一部】【資料A】  【資料B】
西洋タンポポ(外来種)                      I  都市環境      都市部
日本タンポポ(在来種)自然の残った田園地帯や郊外        II      田園部

解説 問1は、表を見ながらIとIIに適切な語句を抜き出して書きます。正答率はどちらも80%を超えており、点数は合計で8点あるので、絶対に落としてはいけない問題です。

答 I 都市化したところ II 人里(の)環境

問2 【本の一部】では、日本タンポポの種子の散布について、どのように書かれていますか。書かれている内容を【資料B】の「③種子の散布」の書き方を参考にして、解答欄の「在来種の方が」という書き出しに続けて書きなさい。

解説 問2は、資料Bを参考にしながら在来種の種子のについて散布について書く問題です。この問題は解答欄の「在来種の方が」と言う書き出しに続けて書く問題ですが、資料Bには「外来種の方が軽くて遠くまで飛んでいく」と書いてあるので、この書き方に倣って書きます。

また、国語の記述で「ない。」と言う終わり方は好ましくないとされていますが、「ない。」の表現として適切ではないのは理由の説明をする際で、この問いではただ事実を述べただけなので、特に問題はありません。

答 (在来種の方が)重くて遠くまで飛んでいかない。

問3【本の一部】の傍線部aについて、この調査では、何を調べることで、どのようなことがわかりますか。書きなさい。

解説 問3は傍線部aと同じ段落の最後の段落に解答があります。問題文通りに「〜を調べることで…がわかる」という書き方に従いましょう。

答 西洋タンポポと日本のタンポポの分布を調べることで、環境が都市化しているかどうかがわかる。

問4【本の一部】の傍線部bについて、日本タンポポがこのような「戦略」をとっているのは何故ですか。その理由を七十字以内で書きなさい。

解説 問4は第5段落と第6段落に書かれている内容をまとめる問題です。たんぽぽは他の植物の影響により、夏に生きていく事は困難なので、春に花を咲かせるということが書いてあります。

70字以内の文字数制限があるので、必要最低限の言葉や表現は残しつつ、この2つの段落をまとめる必要があります。このようなまとめる範囲が広い問題でこそ、要約力が問われます。

答 夏は他の植物が生い茂り、小さなタンポポには光が当たらず、生きていくことができないが、春だと他の植物が芽を出す前に花を咲かせて種を残せるから。

問5  【資料B】の見出しの「タンポポは戦争しているの?」という問に対する答えを、【本の一部】の内容をふまえて、理由とともに書きなさい。

解説 問5は[本の一部]の最終段落を読み取ります。日本タンポポが少なくなっている原因は、他の植物が生えるような元々の日本の自然が減っていることであると書かれています。「たんぽぽは戦争しているの?」と聞かれているので、上記の内容を上げて、争っていないことをはっきり表現してください。

答 日本タンポポが少なくなっているのは、単に他の植物が生えるような元々の日本の自然が減っているからであり、西洋タンポポと生える場所を取り合って負けたからではない。

大問1は文章を読み取ることさえできれば特別難しい表現はありませんでした。とはいえ、大問4と5のように複数の文章や表現をまとめる問題には要約力が必要であり、時間との勝負になるのは間違いないです。

続いて大問2も文章と資料の読解問題

問1【ひろみさんのノート】のaに当てはまる、傍線部と同じ内容を表す別の言葉を、【本の一部】の文章中から二十字以内で抜き出して書きなさい。

解説 このような同じ内容を表す別の問題を探す問題は、言い換えられた言葉がそのまま解答になります。問1は同じ段落に解答があります。似たような表現が第一段落にもありますそちらは20字以内に収まらないので必然的にこちらを選ぶことになります。

答 自分自身と対話する構造を対話に組み込む

問2【ひろみさんのノート】のbに当てはまる適切な言葉を五字以内で書きなさい。

解説 問2は第6段落の内容であることがbの場所から分かります。本文第6段落の2行目の「自分自身に向き合う習慣のない人もいるが、こちらからの質問によってはそうした人も自分自身の経験に深く入っていく」「そうした作業を助ける対話力というものがあるのだ。」の部分をまとめた内容が、ひろみさんのノート内の「相手に、自分自身に向き合うことができるようなB〇〇〇〇〇ことで作業を助けることができる。」と合致します。

ノートでは本文冒頭の「自分自身に向き合う習慣のない人」の部分は「相手」という表現に留まっているので、言い換えられた箇所がどこなのか分かりにくいです。また本文には上記の間に比喩表現があるので、余計にややこしくさせています。

答 質問をする

問3  第二段落について説明したものとして最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。

ア 第一段落の内容を受けて新たな問題を提起し、読者の関心を高めている。

イ 第一段落の内容と対立する意見を示し、読者に異なる視点を与えている。

ウ 第一段落の内容に関連する具体的な例を示し、読者の理解を促している。

エ 第一段落の内容を支える根拠を明らかにし、読者への結論を示している。

解説 第二段落で説明されていることを選ぶ選択問題です。第一段落では自分自身と対話することについて述べられており、第二段落ではその具体例として長い文章を書くことや日記をつけることが示されているので、ウを選ぶことができます。

答 ウ

問4 【ひろみさんのノート】のcに当てはまる適切な言葉を七十字以内で書きなさい。

解説 問4は筆者が述べている「コミュニケーションの優れた形」がどういったものなのかを70字以内で述べる問題です。全体を通して筆者は自分自身と対話することで深い対話ができるということを述べていて、それに加えて第6段落では、会話相手にこちらから自分自身との対話を促すことによって、相手も自分自身と対話するようになると、コミュニケーションの優れた形が取れると主張しています。

この問題は正答率が8.3%で、本年度の中で最も正答率が低い問題です。70字も書かなければいけない上に、要約の中心となる第6段落には、比喩表現や言い換えが多いため読み取りにくいように思えますが、「自分と対話する」「相手にも自分との対話を促す」という2点だけを抑えて、その2点について詳しく書けば良いので、決して難しい問題ではありません。

こういった問題を限られた時間の中で解くためには、普段から記述の問題に慣れ親しんでおく必要があります。配点は9点なので、差がつくポイントです。

答 対話に参加している者それぞれが、言葉を探す努力をして自分と対話し、相手も自分との対話ができるように促しながらコミュニケーションを深めること。

問5 【本の一部】に書かれている「自分と対話し言葉を探す」ということについて、あなたが考えたことを、次の条件1と条件2にしたがって書きなさい。

条件1 【本の一部】から言葉や表現を引用して書くこと。

条件2 原稿用紙の正しい使い方にしたがい、百字以上、百四十字以内で書くこと。

解説 毎年恒例になっている140字以内で主張をする問題です。本年度はどちらか一方の意見に賛成して意見を述べたり、物事を説明したりするのでは無く、完全に自分の考えを述べるだけなので自由度が非常に高いです。

筆者の主張を1文目でまとめ、2文目で自分の考えを述べれば上手くまとまります。あくまでも「自分と対話し言葉を探す」ことについて聞かれているので、相手にも自分自身と対話することを促すといった問4や第6段落の内容と被らないようにしましょう。

大問3は基本的な教科書レベルの漢字の読み書きがそれぞれ5問ずつと修飾の問題が1問、古典の簡潔な問題が2問

大問3 次の1から4までの各問に答えなさい。

問1 次の①から⑤までの文中の傍線部のカタカナを漢字に直して書きなさい。

① 厳しい態度でノゾむ。

セイケツなハンカチを用意する。

③ 平和がエイキュウに続くことを願う。

④ 彼は的をた質問をした。

⑤ 日光をびる。

答 ①臨 ②清潔 ③永久 ④的 ⑤浴

問2 次の①から⑤までの文中の傍線部の漢字の正しい読みをひらがなで書きなさい。

① 活動の源泉は休養にある。

② 決定を班長にねる。

③ 彼女の存在はチームにとってもしい限りだ。

円熟した演技を見せる。

傾斜の緩い坂道を登る。

答 ①げんせん ②ゆだ ③ たの ④えんじゅく ⑤けいしゃ

問3 次の文を読んで、傍線部「どうしても」と修飾・被修飾の関係にあるものを、波線部aからdまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。

どうしても旧暦の正月の前に、、a住み慣れた古い家に別れ、bなじみ深い故郷をあとにして、私が今暮らしをc立てている異郷の地へd引っ越さなければならない

答 d

問4 次は、【古典の文章の冒頭の部分】とその【現代語訳】です。これらを読んで、次の①と②の各問いに答えなさい。

【古典の文章の冒頭の部分】

  祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。

【現代語訳】

 祇園精舎の鐘の音には、この世のすべては絶えず変化していくものだと言う響きがある。沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるものであるという道理を表している。

① 傍線部「花の色」と対になっている部分を【古典の文章の冒頭の部分】の中から抜き出して書きなさい。

②【古典の文章の冒頭の部分】の作品名を漢字四字で書きなさい。

答 ①鐘の声 ②平家物語

いずれも教科書レベルができていれば簡単な問題ですので、普段から定期テストの勉強をしていれば満点を取ることも難しくありません。

以上、滋賀県公立高校2017年度の国語の問題の解説でした。記号問題は僅か2問しかなく、50分でこの量の記述問題をこなすには対策なしでは難しいです。日頃から記述問題に取り組み、慣れておくことが必要であるように感じます。