時間的余裕があり学習環境が整った私立中高一貫校

今回は、立命館守山中学校のかがやき21と国語の入試問題の研究をしていきます。立命館守山中学校はその生徒の大半が立命館守山高校、立命館大学へと進学し、難関国公立大学の合格実績もあります。
このような進学実績もあり、滋賀県の中学校の中では偏差値が最も高い学校の部類の一校で、私立ではトップの難易度を誇ります。
中学では主に立命館大学を目指す「アカデメイアコース」と、
主に難関大学を目指す「アドバンストコース」の二つのコースに分かれています。

本校の大きな特徴はICT教育が盛んで、特にグローバル教育に力が入れられています。
「エキスパートカリキュラム」という英検所持者向けのハイレベルな英語授業や、海外の学校との交流や数週間の海外研修など、大学でも学ぶ機会が少ないようなことを中学の時点で学ぶことができます。
また高校では海外大学への進学も可能な「グローバルコース」があり、海外意識の高さが分かります。
通常の英語の授業も他校と比べると早い進度で行われています。

私はこれまで複数人の立命館守山の生徒や、当校を志望する生徒(最終的には合格されました)を受け持っていました。
彼女たちの共通点はオンとオフの切り替えがしっかりできているということでした。
どの生徒も授業が始まると集中した様子で取り組んでくれていましたし、宿題忘れや疲労による居眠りなどは一度もなく、学校に対する愚痴や文句も殆どありませんでした。公立中学→高校への進学とは違った、中高6年間の詰め込みではない合理的なカリキュラムが時間的なゆとりを生み出し、生徒をそうさせているように感じます。
また、試験はあるとはいえ大学までの進路がほぼ決まっていることで、進学に対する不安が減っている点はかなり大きいと思います。

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自由な発想で解答を作っていくかがやき21作文問題

立命館守山中学校を受験するにあたり、第一に目指すべきところがかがやき21入試(通称:かがやき)の出願資格を得ることです。
出願資格を得るには小学校での成績や、課外活動での実績、駸々堂模試の成績など一定の基準をクリアしなければなりません。
出願資格についての詳しいことは学校のウェブサイトをご参照ください。

この出願資格を得ることができた受験生のみが、かがやき21入試を受けることができます。
以前は定員が固定されておらず、年度によって受験する人数は80人から100人程度と上下していたため一般試験の倍率に大きく影響していましたが、2022年度から合格枠が80名程度に固定されました。

かがやき21入試の試験は作文と面接があります。その作文の内容が少々特殊です。

右の作品はフランスの画家アンリ・マティスの「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」(1905 コペンハーゲン国立美術館)である。

作品をじっくりと鑑賞して問に答えなさい。

1.この作品を見て気がついたことや気になったことを述べなさい。(250字程度)

2.なぜ作者はそのように描いたと思うか。あなたの考えを述べなさい。(250字程度)

2021年度入試・A1日程・かがやき21作文問題より

この作文の大きな特徴は、問題に対する明確な答えがないという点です。
知識は問われず、自分で主張する内容を考えて文章を構成し、矛盾のない正確な文章を書くことが求められます。
正解がない分書きながらこれでいいのだろうかと不安になり、鉛筆が進まなくなりがちですが、
最初に自分の考えを述べる

考えを掘り下げて詳しく主張する

最後に最初の主張と異なったことを述べていないことを確認しながらまとめる
という作文の基本に則って書いていくことが大事です。

かがやきの試験は推薦入試なので、出願資格を得て試験さえ受ければ基本的には合格できますが、アカデメイアコースを第一志望にして一般試験を受ける場合や、中学・高校での定期試験など今後記述問題に取り組む機会が多いことなども考えて、事前に同類の問題を解くことで作文の構成力を高めておきたいところです。

様々な分野から出題される一般試験の国語の問題

一般試験は計4回実施されることが近年の特徴です。
試験によっては一部教科は選択型になっていますが、どの試験でも国語は必須となっています。
文章量、設問が多く、問われる知識問題は比較的難しい内容になっています。
問題に癖はあまり感じられず、ストレートに筆者の考えや登場人物の心情について問われる問題が多く、シンプルな形式でありながら物量がかなり多いです。

一般の国語の試験では以下のような共通の出題傾向があります。

大問1 漢字の読み書き 慣用句 ことわざ 四字熟語

大問2 論説文(説明的な文章)

大問3 物語文(小説)

大問1は一問一答の知識問題となっています。慣用句、ことわざ、四字熟語は対策なしでは難しい内容になっているので、知識問題だからと後回しにするのではなく、国語の演習の際にこの単元も一緒に取り組んでしまった方が良いです。

大問2が論説文、大問3が物語文です。
どちらも文章としてはわかりやすく、専門用語が多すぎたり、独特な主張がされていたりするわけではないので文章自体は読みやすいように感じます。しかし問の数が各大問に6~7個に相当する数あり、文章量はかなり多いので、必然的に時間との戦いになるでしょう。
年度にもよりますが大問2は記述が多く、大問3は比較的記号問題が多いです。
物語文が得意な受験生は、大問1→大問3→大問2の順番で解くのもありです。

どちらも、量は多いものの内容をしっかり読み、登場人物や筆者の考えを理解するという国語読解の基本ができていれば取り組める癖のない問題です。
純粋な読む力、書く力を試される試験と言えます。

社会との融合問題である適性検査型問題

適性検査型問題では、検査Ⅰが社会の地理or歴史分野との融合問題になっています。
社会の問題では表やグラフの読み取りが多く、国語の問題では書き抜きや要約の問題があり、最後に2段落構成で自分の意見を述べる作文の問題があります。

途中の書き抜きや記号問題は普通の国語の問題と変わりないですが、最後の作文の問題はかなりの記述力が求められます。

文章を読んだはじめさんのクラスはSDGsに興味を持ち、話し合いました。以下はその時の会話の様子です。これを読んであとの問いに答えましょう。

(会話文省略)

問 日本の政治の課題について、あなたはどのように考えますか。次の条件に従って、書きましょう。

〔条件〕

・180字以上200字以内で書くこと。

・題や氏名などは書かずに、本文を1行目から書き始めること。

・書き出しや段落の初めは1マスあけること。

・本文は2段落構成とし、1段落目には、【資料X】と【資料Y】から読み取れることをまとめる。第2段落では、第1段落にまとめた問題をふまえて、政治の課題を解決するためにあなたが取り組みたいことを述べること。

2021年度入試・C日程・適性検査Ⅰより

滋賀県公立高校一般試験の国語 大問2の最終問題と同じ形式で、50分の試験時間のうち、ここにどれだけの時間が割けるか、そして文章を作る構成力が問われている設問になっています。
2020年度は外国人との交流について、2021年度はSDGsについてと、立命館守山中学校が力を入れている教育内容について聞かれているところも面白い点です。

適性検査型問題は2021年度までは一番最後に実施される試験で、受験者数はかなり少なかったのですが、2022年度から一つ前に移動し、今後この試験の受験者数は増えていく可能性があります。
この試験は他の一般試験と形式が大きく違い、上記のように作文の難易度は高く、対策なしでは太刀打ちできないため、こちらにも時間を割くか、それとも他の一般試験の対策に特化するかは、受験生の事情によって異なってくるところです。多くの方は県立中学校の併願としての受験かと思いますが。

まとめ

以上のように、立命館守山中学校の試験はどの形式でも読解力・記述力・構成力が問われる試験になっています。
これらを鍛えるには、日ごろから中学受験生向けの国語の読解問題に取り組むことが最適になります。

立命館守山中学校は大変魅力の多い学校ですが、入学するまでの勉強の過程だけでも、かなりの学習力が身につくように感じます。
受験をお考えの方はご存じかとは思いますが、小学校の成績、英検や漢検などの資格、駸々堂模試の点数、入学試験の勉強、本番の入学試験と、非受験生と比べるとかなりの難易度のことに取り組みます。
特に模試や上記の入学試験では書かせる問題が多く、中には一般的な公立高校の受験より難しいのと感じる内容のものも多くあります。
それを小学生の段階で取り組んでいくので、論理的思考力の養成など学習面での能力向上は、合格を目指すこの段階だけでも大変価値のある経験になると感じています。

立命館中学校合格に向けて、当塾の体験授業では論理的思考力の養成を目標とした「文章の要旨をつかむのための読解公式」を指導します。
詳細は体験授業のご案内をご確認ください。

以上、立命館守山中学校の特徴・入試傾向のまとめでした。