大手塾での国語の体系的な理解が不可能な環境
今回のブログでは、私の大手塾での指導経験から、大手塾の国語指導について述べていきたいと思います。
結論から言うと、タイトルにもあるように国語が苦手な生徒さんが大手塾で国語の成績を上げることはかなり難しいです。
大手塾(個別指導)での国語指導は次のようなことが行われます。
①テキストの演習
②丸付け・解説
決まりとしてあるのはこれだけで、とてもシンプルです。理解度に大きくかかわるのは②での解説です。多くの場合は先生がテキストの解説を読んで、文章の抑えなければならない重要な箇所を言って、生徒は分かった気になります。これは解いた問題の解説にはなりますが、他の文章を読んだ時に生かせません。次の問題を解き始めた時には、またまっさらな状態から始まってしまいます。
国語の読解には法則がありますが、私の体感としてはそれを理解している先生は少ないように感じています。個別指導のアルバイトができる地頭の良い大学生の先生は、文章読解を「なんとなく」で理解でき、問題を解けてしまうため、ここが大事!と言うほかに解説のしようがありません。これは先生が悪いというよりも、大人数の生徒を捌いてコマ割りをする大手個別指導塾の体裁上、指導方法の教育に時間が割けずに先生任せの授業になってしまっているので、仕方がないといえます。
国語は運、国語は才能で決まる、とよく耳にしますが、読解の方式を覚えていない人からすれば公式を知らずに答えを書いているような状態なので、このような意見になるのも無理はないと思います。
仮に読解のコツをわかっている先生でも、1対2以上の形態で読解方式を授業内で伝えきるのは難しいです。当塾では7つの読解方式を50分の体験授業でお伝えしています。1対1で50分かかる読解方式の内容を、1対2以上(隣は他の内容を解いている状態)でやるとなると、授業が崩壊しかねません…。
国語は他科目と同じ形態でやるにはとにかく時間が足りません。なぜ1対1なのかのページにも書いていますが、多くの大手塾は1対2以上の個別または集団授業であり、上記の解説に加え、一人一人に合わせてここがダメだった、ここは良かった、というような添削をする時間がありません。国語は記述問題が多いため、解答が他科目以上に生徒によって変わり、添削にも多くの時間を割くことになります。自分の解答のどこが悪いのか把握できないまま授業は次に進んでしまいます。生徒がどこがダメだったかを考えている間に、先生が答えを言ってしまい、さっさと先に進んでしまうことも多々あります。これらが大手塾で国語が伸びない大きな要因です。
繰り返しになりますが、しっかり対応しない大手塾が悪いという批判ではなく、大手塾のシステム上、これ以上深い内容をすることが難しいように感じています。
当塾での国語指導は、以下の内容で行っています。
①7つの読解方式の伝授(体験授業)
②要約の練習
③テキストの演習
④これらの解説
冒頭の大手塾の指導内容よりもきめ細かくなっていることが分かっていただけるかと思います。テキストを解いて解説を聞くだけではなく、前提として読解の法則を学び、読解の力をつけるために要約の練習もします。読解公式は最も根幹の部分なので、体験授業の後も随時指導します。
大手塾では優先されない「国語」という教科
当塾は国語専門塾であるため最優先科目はもちろん国語ですが、一般的な塾では一番優先度が低い科目になってしまっています。上記のように大手塾の国語はシンプルな内容にされているために他科目以上に成績が上がりにくく、テキストの演習だけでは点数や成績UPという目に見えた結果がなかなか得られないため、優先度が下がってしまっています。
体感として、過去問演習以外で国語の授業があることはほとんどないです。例として中学生は週一で「積み上げ型教科」と言われる英語と数学をして、季節講習でさらに英語と数学をプラス、受験生はさらに理科と社会を上乗せという感じで、国語は保護者の方の強い要望がなければまずないです。私は大手塾の講師をしていた時は文系の講師という立ち位置でしたが、辞めるまでの直近3年間では、中学受験生と中学生の国語の授業は一度も入りませんでした。
特に指導していて感じたのは、中学受験生(滋賀県だと立命館守山中学校や県立守山中学校・河瀬中学校などを志望する生徒)に対するフォローの少なさです。中学受験ではどの科目でも小学校での学習内容よりもかなり発展的な内容に取り組まなければなりません。作文や小論文や適性検査問題もその部類です。とにかく文章を書かせるタイプの問題が多いです。文章を書くことに苦手意識を持っている方は、過去問や専用のテキストを解くだけでは、その難易度の高さから「どこに注目したら良いのかわからない!」「どこが大事なところなのか分からない!」という状態になってしまいます。ですので、文章を書くことが苦手な受験生は、いきなり難易度の高い実戦的なテキストや過去問に取り組むのではなく、基礎として読解方式を学び国語の演習や要約の練習をすることで、実践的な演習の土台となる読解力や文章を書く力を養成して身に付けなければ、良い結果を収めることは難しいです。
高校受験でも同様のことが言えます。公立高校の特色入試では小論が出題され、一般入試の国語では以前のブログでも触れたように記述問題が非常に多く、理科、社会でも記述がかなり多いです。これらを解くために必要な要約力と構成力は一問一答メインの通常のテキストだけでは養えません。
そしてこれは小中高関係ないのですが、大手塾で生徒を見てきて思ったこととの一つとして、問題文で聞かれていることに正確に答えることは、決して簡単ではないということです。用語や単語などを覚えていても正確に解答しきれず、活用しきれていない場面に何度も遭遇しました。折角内容を覚えているのに答えることができないのはもったいないな、と思うことが多いです。国語の演習を重ね、問題文の重要な点を読み取り、聞かれていることに対して正確に答えることができるようになる読解力を養うことができれば、覚えた内容をフル活用できるのに…と思ったことが何度もあります。
当塾ではこのような大手塾でフォローしきれていない部分を補い、国語をはじめとして、他科目や試験にも必要になる記述力や構成力など、様々な力の向上を図っていきます。