高校受験を終えて無事志望校に進学し、いざ新生活が始まると、「思ってたのと違った」「こんな学校生活が3年も続くとか無理」という声を聞くことがあります。
慣れの問題であれば最初の数か月を乗り越えることができればよいのですが、もし学校の環境が本当に自分に合っていなかったら、その進学先の選択が今後の高校生活だけでなく、3年後の大学受験やその後の就職活動に大きな影響を及ぼしていきます。
後悔しないためにも、そして将来の選択肢の幅を狭めないためにも、志望校選びはよく考えたうえで決めるべき重要な作業です。
学力や偏差値や、一般的に言われている「将来なりたい職業から進路を考える」ということは勿論重要ですが、これらのことに加えて私が重要だと考えることについて書きます。
上位公立高校を主題として書いていきますが、一部は他の高校を志望する方にも当てはまる内容です。ぜひご参考にしてください。
①「合格」を最終目標にしない
②自習は得意?「天才肌タイプ」は要注意!
③通学時間はかなり重要
④「校風」をあてにしすぎない
①「合格」を最終目標にしない
これが最も多くの人に当てはまる内容であると感じています。
合格したのちの高校生活がどのようなものであるかを知っておくべきです。
受験勉強を終えて勉強から解放された!と思っていたら、高校の勉強量がめちゃくちゃ多い!だったり、部活と通学で全然時間が無い!であったり、入学前に知らなかったことで入学後に精神的・体力的にとても疲れてしまうことがよくあります。
高校では、中学に比べて自分の時間が少なくなります。ただ実力や学力から選ぶのではなく、志望校の高校生活がどのようなものであるかを知って、考えることが大事です。
私の体感として、学校説明会はあてになりません。
説明会では学校の特徴を学校の先生自身が説明しているので、当たり前と言えば当たり前ですが良い部分ばかりが述べられます。在校生が登場して特徴を紹介する場面があっても、先生の前で悪い点が具体的に述べられることはあまりないでしょう。
受験生本人に志望校があれば、志望している理由を聞いてみてほしいと思います。「なんとなく」が一番厄介ですが、いずれにせよ生徒も親も納得できる形で志望校は決めるべきです。
100パーセント自分に合った高校というのはなかなかないと思いますので、天秤にかけ、どこかの部分は妥協して、一番妥協点が少ないと思える高校を考えてみてほしいです。その判断材料として、以下の点も参考にしてみてください。
②自習は得意?「天才肌タイプ」は要注意!
上位公立高校では、中学とは比べ物にならない量の学習量になっています。私が考える上位公立高校を選ぶ基準で最も大事なのは「自習できる力」です。これは断言できます。
高校の主な大学進学先を見て志望高校を決めるのも一つの手ではありますが、公立上位校は「入ればなんとかなる」わけではなく、上位国公立大学を目指した難しく量の多いカリキュラムなので、頭の回転の速さ+自習力でついていけるかどうかが分かります。
頭の回転の速さというのは高校に入るまで判断できませんが、自習力は中学の段階で分かることなので、自習力を一つの指標にしてほしいと思います。
近年上位高校に通っている生徒をメインターゲットとした自習メインの学習塾が増えているのも、自習の重要性が世間に浸透してきた結果だと思います。
逆に、自習は全くできないけど学校や塾の授業だけで上位校に行ける学力がある「天才肌タイプ」は要注意です。自分で勉強をする時間を作らなくても覚えることができるので効率がいいように見えますが、上位公立高校では中学とは比べ物にならない量の勉強をしなければなりません。上位高校の大量の単元を、授業を見て聞くだけで全て理解できる人は流石にほとんどいません。
そして、自習する力は中学生までの間につけておいてほしいです。高校生になってから自習をしようとしても、習慣付いていないので上手くいかないうえに、大量の学習量が待ち構えています。周りは自習をコツコツ積み上げて頑張ってきた人が多い中で、このハンデはかなり大きいものになってしまいます。
私は授業を言われただけで理解することができる量の限界は人によって違うと考えています。それが小学校なのか、中学校なのか、高校なのか、どの段階で限界が見えるかは人によりますが、限界が早ければ早いほどリスクは小さいように思います。
高校は義務教育ではなく、上記のように実際に退学してしまう人もいました。中学の時は勉強できたはずなのに、なぜこんな苦労をしているのだろう…。とならないためにも、学力だけでなく自習力も考慮して志望校を考えてほしいと思います。
③通学時間はかなり重要
単純と言えば単純ですが、通学時間はかなり大事です。電車通学の生徒と近所から自転車通学する生徒では、圧倒的に後者の方が時間を有効に使えます。
電車通学の人が早起きして電車に揺られている時間、自転車通学生は自由に時間を使えます。ゆっくり寝ることもできれば、早めに起きて勉強をすることもできます。
仮に電車通学生が50分(近江八幡駅から彦根東高校までのおおよその時間)、自転車通学生が20分かかり、両者の通学時間に30分の差があるとすれば、1日で1時間、1週間(平日のみ)で5時間も差が生まれてしまいます。同じ量の勉強をこなすにあたって、この差はかなり大きいです。そして単純な時間の差だけでなく、家から駅まで行く→電車に乗る→駅から学校まで歩くという行程は体力的に結構疲れます。
このため、電車で単語帳などを見るなどの勉強をする電車通学生は上位高校にはかなり多いです。工夫して時間を有効活用することは非常に大切なことです。
④「校風」をあてにしすぎない
例えば上位高校であれば、「膳所高校や石山高校は自由な校風」「守山高校や彦根東高校は厳しめな校風」というようなことを進路指導や面談で聞くことが多いと思います。卒業生と話すことも多いのですが、実際これはあまりあてにならないように感じます。
というのも、当たり前と言えば当たり前ですが結局は先生のさじ加減によるので、授業を担当する先生次第で厳しいか、自由かというのは変わってしまいます。膳所から彦根東に転勤する先生もいらっしゃいますし、勿論その逆もありますので、中学で得ることができる情報だけでは判断がつきません。膳所高校でも何かと厳しい先生はいらっしゃるということです。
私は校則などルールに厳しめと言われていた彦根東高校出身ですが、スマホ使用のルールや身だしなみのルールはあったものの、抜き打ち検査などは一度もなく、黙認している部分がかなり大きかったと思います。授業は1年生の時は厳しめな先生が多かったですが、学年が上がるにつれて同じ先生でも優しくなっていった傾向が強かったです。とはいえ授業中は常に静かで、生徒もまじめな人ばかりでしたので、他人に迷惑をかけられるようなことは全くありませんでした。
後悔しない高校生活を送れるようにしよう
高校は、中学の段階で事前に得られる情報がかなり少ないです。中学校の先生は直接高校生とやり取りしているわけではないので情報が古いことがありますし、上記の校風のことのように真に受けすぎない方がいいと思うこともあります。塾では実績を作るため、もしくは生徒の実情にかかわらずとにかく上の学校に行かせることが本気で良いと思っている先生も残念ながら多いです。
それにただ従い、高校にいざ入ってからもし後悔したとしても、結局は最終判断をした自分の責任になってしまうのでどうしようもなくなってしまいます。
偏差値や学力以外の部分で志望校を考えることも本当に大事です。この記事が、高校受験の際の一つの参考になれば嬉しいです。