12月に入り、今年度の中学受験は佳境を迎えています。

中学受験では、一見すると難しい問題が多く、相応の対策が必要とされています。その中でどの科目でも必要とされている力が「国語力」であると感じています。

中学受験「国語」で必要とされる国語力

例えば立命館守山中学校の入試問題の国語では、文章自体は長いものの、文章と問われていること自体はあまり難しくなく、純粋に「読解力」を鍛えることで対応できる問題になっています。
このような中学入試における国語が苦手という受験生は、大きくは

・どこが大事なのか分からない
・文章が長くて集中が持たない

この2点のどちらか、またはその両方なのではないかと思います。

前者「どこが大事なのか分からない」場合は、読解の法則を身に付ける必要があります。中学入試の国語では文章が長い反面、複雑な表現・設問が少ないということはパターンに当てはめる問題が多いということであり、純粋に読む力が試されているということです。読解の法則を知っていて、活かせるかどうかがそのまま点数に直結します。
(ちなみに、当塾では読解の法則を7つの読解公式として体験授業で伝授しています。)

後者「文章が長くて集中が持たない」場合は、同様の形式の問題を使って回数をこなす他ありません。解くパターンが分かっているのであれば(それが感覚的なものであったとしても)漢字の練習や算数の計算のように回数をこなすことでクオリティを上げていくのが最良です。

まずは受験用ではない一般的な教材の文章量を解けるかどうかです。解けるのであれば徐々に文章量の多い教材に取り組み、最終的には本番と同じ量の問題を解いていきましょう。

中学受験の国語の試験は文章こそ長いものの、抜き書き問題と記号問題が多く、自分で文章中から組み合わせて考えて書くタイプの記述問題は少ないので、読めていれば書きやすいという傾向が強いです。

中学受験の国語以外の科目に必要とされる国語力

単純な1問1答の問題と違い、問題文が長いのが中学入試の試験の特徴です。ただ問題文を読むだけではなくて、「どの分野の」「何について」問われているのかを考えてみましょう。

一回だけ読んで直感で分からないとあきらめてしまう人はかなり多いですが、表現や出題が難しい仕様になっている中学受験の問題においては分からなかったら問題文を何回か読み直して考えることが重要です。一つの問題を解くのに必要な情報が多いので、一度読んで一部しか内容が入ってこないことはよくあることです。すぐ解けなくてスッキリしないことも多いと思いますが、じっくり2,3回読めば内容を掴めることもあります。

普段の練習では「なんとなくこの分野のこれについて聞かれているかも…?」という段階まで理解度を上げることが大事です。

実際に入試問題の例を挙げてみます。

第3問 図1に示されているA~Dの4地点でボーリング調査を行いました。図2は,地点A~Cの地下のようすをまとめたものです。図1の曲線は等高線を,数値は標高を表し,A~Dの4地点は,真上から見ると正方形の頂点にあたり,地点AとBは東西方向にちょうど 100 m,地点AとC,地点BとDはそれぞれ南北方向にちょうど 100 mはなれています。あとの問いに答えなさい。ただし,この地域では,地層をつくる土砂はすべて水平にたい積し,その後一定の方向にかたむいたことがわかっています。また,地層がずれたり,曲がったりはしておらず,地層の上下の逆転もないこともわかっています。

(図・問省略)

立命館守山中学校 2022年度 理科 A1入試 

後の問題で上記のうち「地点AとBは東西方向にちょうど100m、地点AとC、地点BとDはそれぞれ南北方向にちょうど100mはなれています。」の箇所がヒントになっている問題があります。このことは図や小問にも書いていないため、上記の文章中から見つけなければいけません。

このような問題では、しれっと大問の問題文の中にヒントが書いてあるということなので、最初に一度問題文を読んだだけでは解答は厳しいでしょう。さらに言うと、先に図と小問(問1、問2など)の問題文だけを見て、上記のような大問の問題文には目を通さない癖がついてしまっている生徒も多いです。

分からない問題に直面した時には与えられた情報に何度も目を通す習慣をつけることが重要です。

適性検査問題で必要とされる国語力

適性検査問題はとにかく記述が多いです。

表やグラフや会話の内容をまとめる記述、知識を問う記述など種類・形式は様々ですが、多くの問題に共通して言えることは、他の試験よりもより比較的要約する力が必要とされているということです。

適性検査型の試験では、
・知識(ワードや事柄を知っているか)
・読解力(文章や問題文が読めているか)」に加えて
・要約力(知識や読解で得たものを文章にまとめることができるか)

以上が求められます。他の形式の試験においては上2つはとても重要ですが、要約力が必要になる問題は適性検査型問題と比べて比較的易しく、それほど重要ではありません。
それに比べて適性検査型問題では記述問題がメインで、時に自分の意見が必要だったり、知識が必要だったり、文章中から考えて解く問題だったり、あるいはそれらを組み合わせる問題であったりと、様々な形式の記述問題が出題されます。

以上より適性検査型の試験は、国語力の観点からも難易度の高いものといえます。

そして中学入試のどの形式の問題にも言えることですが、中学入試の試験は1問1答の暗記では太刀打ちできず、「読むこと」がとても重要になるので、非常に国語力を豊かにする試験になっています。
少し嫌な言い方ではありますが、中学受験を通してあまり興味のない分野の文章を読む訓練をして読めるようになっていくということは、今後の試験や仕事をする上で自然と活きてきます。一生の財産になります。
中学受験を考えていらっしゃる方は、受験勉強を通して「国語力」が身についているか、この記事を参考に考えていただければと思います。